借金整理と生命保険
借金整理を行う際に、生命保険に関しては自己破産とその他の債務整理手続きによって異なります。生命保険は金融資産に分類されますが、個人再生や裁判所を通さない任意整理では、解約返戻金がいくらであっても解約する必要はありません。
しかし、自己破産の場合には解約返戻金の金額によって解約をする必要が出てくるケースがあります。それは加入している生命保険を解約した場合の解約返戻金の額が20万円を超える場合で、原則として破産管財人が選任され、管財事件(少額管財事件)となります。その場合、生命保険を解約し、各債権者に配当されることとなります。ただし、このような管財手続きとなる場合でも、その解約返戻金相当額を用意して破産財団に繰り入れることができれば、生命保険を解約しなくて済みます。
これは2010年4月に100年ぶりに改定された保険法で、契約者の保護を目的とする「介入権」が施工されました。しかしながら、この介入権ですが、実際には借金整理を行う状況で解約返戻金相当額を用意することは困難なことで、そのお金を用意することができないために生命保険を解約せざるを得ないといったケースが多く見受けられます。
ただ、解約返戻金相当額を自由財産から用意できない場合で、高齢や病気のために再度の保険加入が難しい場合、自由財産の拡張の申し立てといって、解約返戻金を破産財団から外し、自由財産にすることを裁判所に求めることで、これが認められる場合があります。この場合、解約返戻金相当額を支払わなくても生命保険は維持されます。